「シリーズ もしもしアメリカの本屋さん」では、
実際にもしもしが訪れたアメリカの独立系書店を紹介します。
ニューオーリンズは、ルイジアナ州南部にある同州最大の都市です。
1803年にアメリカが買収するまでは、フランス植民地でした。
そのため、町にはフランス文化の雰囲気がそこかしこに溢れています。
また、ミシシッピ川の河口のあるメキシコ湾に面した港湾都市であるため、長らく国内有数の奴隷貿易の栄えた場所でもありました。
現在では世界中から人の集まる観光名所です。
アメリカにいながら異国情緒を味わえるこの街は、昼夜問わずにぎやかです。
Faulkner House Booksと呼ばれる小さな独立系書店があるのは、フレンチクオーターと呼ばれる中心地。
観光名所であるジャクソン・スクエア広場やセントルイス大聖堂を、少しだけ横道に入ったところにあります。
1920年代、アメリカ作家の父と呼ばれるシャーウッド・アンダーソンを頼って多くのアメリカ人作家がニューオーリンズの地に集まりました。
その一人が、アメリカ最大の作家と名高いウィリアム・フォークナーです。
1925年、若きフォークナーはアンダーソンのつてで滞在した小さな部屋で、彼の第一作目となる『兵士の報酬』(Soldiers Pay)を書き上げました。
フォークナーが住んでいたまさにその建物の一階で、Faulkner House Booksはひっとりと運営されています。
シックで美しいインテリアでまとめられた小部屋には、フォークナーを中心に南部作家の小説、伝記、エッセイがそろいます。
他の書店では目にすることのできない初版出版物も展示されているため、アメリカ文学ファンにはたまらない空間です。
店の奥にどっしりと座っている店主は、入店したお客さんを笑顔で迎えてくれる優しいおじいちゃんです。
フォークナーやヘミングウェイと同時代を生きていたことを、ちょっと誇らしそうに語る彼に聞けば、何でも教えてくれます。
もしもし的世界一の本屋さんでした。
Faulkner House Books
624 Pirate’s Alley
New Orleans, LA 70116
Call: +1 (504) 524-2940
Open every day from 10 to 5:00
Faulkner House Booksの公式HPはこちら↓